kurage.cc マストドンで学術インスタンスみたいなものをやろうとしたらわりと異端だった kurage.cc

ぜま✅クラゲ丼鯖缶 2017年12月13日(水)
この記事は Mastodon Advent Calendar 2017 の13日目の記事です。
25日間のアドベントカレンダー、折り返しの中間点です。
12日目の昨日はずんださんの記事でした。

こんにちは。クラゲ丼 (kurage.cc) 鯖管の ぜま と申します。どうぞよろしく。

私は鯖管さんたちの中では年齢的に長老クラスのようです。まだインターネットも普及していない平成の始めごろ、パソコン通信というもので遊んでいた世代です。当時私は横浜に住んでいて、シェフネットという草の根BBS(インスタンスみたいなもの)に出入りしていました。マストドン会議を仕切っている遠藤さんは、当時月刊アスキーの若き編集長でした。鯖管はSYSOP(シスオペ)と呼ばれ、当時まだ20代だった私はその下のSIGOP(シグオペ)という役割でした。BBSの中は多数の掲示板が階層になっていて、チャットもできました。顔文字も生まれ、荒らし行為もありました。私はパソコンを持ってなくて、ワープロ(という機械があった)にモデム(という箱があった)をつなぎ、電話線を引っ張って通信していました。

そんなパソコン通信はとっくに滅亡しましたが、大小のサーバーが生まれて独立したり連携したり、いまのマストドンと何となく似たところがあったのです。今春マストドンの話が伝わってきたときに当時のパソコン通信仲間がにわかに反応したのは、やはり懐かしい何かを感じ取ったからだと思います。マストドンを「パソコン通信の再来」だと表現した記事も実際にありました。

私はエンジニアでもプログラマーでもないので、当時も今も技術的なことはあまりわかりませんが、やはりなぜかマストドンに興味が湧きました。おっさんになって小さな工場を経営しwebサイト用にレンタルサーバーも借りていた私は、そのサーバーの余力でマストドンができないかな、という程度の簡単な考えでマストドンを調べ始めました。

また、私は数年前から趣味でクラゲの飼育をしています。クラゲの専門家のメーリングリストにも登録させてもらい、Facebookやツイッターで研究者の方々と多少は交流ができる状況になっています。なのでそれを生かしてクラゲをインスタンスのテーマにしようということは最初から決めていました。それ以前はクラゲの飼育ブログもやっていましたがなかなか更新ができず、短文でちょこちょこ投稿できるスタイルのほうが続けられそうだったので、500文字書けるマストドンはその意味でも最適だと思い、ブログのほうは閉鎖してしまいました。

試行錯誤の末、クラゲを専門テーマにしたインスタンス kurage.cc(クラゲ丼)がさくらのクラウドで立ち上がったのが今年の5月1日のことでした。メーリングリストやツイッターで何度もアナウンスしたにもかかわらず、半分想定していたとは言え、人はさっぱり集まりませんでした。ただ、クラゲの趣味でも研究でもアマチュアが何かをやって評価されるにはとにかく長く続けなければだめだという覚悟はあったし、合わない人が来てトラブルになるよりは孤独なほうがまだマシとも思えたので、誰も来なくても記事を淡々と積み上げるつもりでした。

ところが周囲を見回してみると、マストドンを取り巻く状況はかなり困ったものでした。特に mstdn.jp を始めとする大規模インスタンスは大ブームを巻き起こし、タイムラインは弾幕のような怒涛の流量となり、しかも残念なことに内容は非常に低俗でした。もっともこれはこれで祭りのような高揚感があって楽しいものではありましたし、管理人の方々は大変な苦労を克服してマストドンを普及させてくれた立役者なので感謝しなければいけないのですが、多くの人にマストドンはこういうものだというイメージを植え付けてしまい、うちのように専門テーマをじっくり語りたかったインスタンスにとっては水と油のような居心地の悪さも味わうこととなってしまいました。

そうした大規模インスタンスが君臨しただけでなくもちろん中小のインスタンスもたくさんあり、エンジニア系やゲーム・アニメ系・地域ローカル系が多かったものの、中には大学ごとのインスタンスや、硬い学術テーマの小規模インスタンスもいくつも立てられていたことはいたのです。mathtod.online

特に数学インスタンスの mathtod.online(右の画像) や m.okadajp.org は「数式の書けるインスタンス」で、独自の改造を加えてTeX形式での複雑な数式入力をサポートした点が出色でした。

これを知った私は大いに興奮し、マストドンは改造ができる、ぜひうちも生物の学名の入力を補助するような機能が欲しい、クラゲの分類が手元でわかるようにできないだろうか、などと妄想していました。うちの場合は私のスキルが足りないため独自改造というほどの機能はいまだに実現していませんが、他にもチャレンジされたインスタンスはあったのではないかと思います。

しかしながら、そうした専門インスタンスのうちの相当数が、人が集まらず会話がなくなってしまったり、独自改造がじゃまになってマストドンのアップデートについていけなくなったり、維持費を支払えなくなったりして、半年ほどの間に次々と姿を消してゆきました。もちろんまだ残っているところもたくさんあります。しかし残念ながら専門インスタンス崖っぷちというのが現状ではないかと思います。kurage.ccのLTL

マストドンは言うまでもなく連合が大きな特徴で、少人数のインスタンスでも連合を通じて自己PRもできて世界が広がるのがとても良いのですが、専門インスタンスの場合、誰でも会話に入ってこられるわけではないので、インスタンスを盛り上げたくてもマストドン内の連合が今ひとつ効果を発揮しません。想定読者の大半がマストドン外にいるのが実情で、そうした外部の人からタイムラインが見えないというのが大きなネックの一つだと思います。うちでは aboutページの『今こんな話をしています』をローカルタイムラインが出るように変更はしましたが、もちろんそこから検索はできませんし、閲覧性はまだ不十分だと思っています。

…(理想を言えばローカルタイムラインはログインしなくても全文のフリーワード検索ができるようにしたい。ブログみたいに横にカレンダーもつけて過去の日付にジャンプできるようにもしたい。クラゲの種類ごとに記事を絞り込めるようにもしたい。ログインは書きたい人だけがすればいいと思う)…

「マストドンはチャットみたいなもの」という認識も広まってしまった中で、あえて雑談を控えめにし、過去記事も掘り起こしながら学術談義をはぐくみたいと考えている当インスタンスは、他から取り残されるような形で異端マストドンまっしぐらの道を突き進んでいるかのようです。

マストドンの仕組みが学術インスタンスに向いていないのか?と言えば、決してそんなことはないと私は今でも思っているのですが…

さてここからが本題、と言いたいところですが、長くなりすぎたので今日はこのへんにいたします。

この続きは(もし生き残っていたら)来年のアドベントカレンダー2018で。

14日目の明日は 中の亀 さんです。
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